周りを見渡してみてください。一番近くに見える芸術品は何ですか?あなたがどこにいるのかにもよりますが、恐らくひとつも見えないかもしれません。では、今あなたは遠い未来からやってきたと想像してください。未来の存在の目を通して見ようとし、もう一度見渡してみてください。すると、あなたの周りのありふれた物体は、奇妙でアンティークなので、新たな興味を惹きつけます。その形や意図、そしてデザインは古い時代を思い起こさせます。それらは、エジプトの櫛やギリシャの陶器、またはビザンチンのトランクがそうさせるように、私たちに神秘的な好奇心を抱かせます。
これはアートの不思議な性質ですね!ルーヴル美術館を訪れるとき、私たちは当然アートの目的だと思うような厳粛に称賛され、彫られ、そして描かれた作品に出会います。しかし私たちはまた、カーペット、皿、カップ、櫛や鏡などもともとははるかに違った目的のためのものも発見します。今日の作品はギリシャの陶器の伝統のもので、赤い影の人物や装飾が特徴の、非常に人気のスタイルです。このスタイルは、日常の作業を行う実用的な製品に対して使われました。職人たちが彼らの仕事の価値の可能性に気が付くにつれ、彼らは作品にサインを残し始めました。これは、装飾へと移行し、ディテールと物語性、構成のレベルを上げるものでした。
時間は、ただ過ぎるだけでアーティストを作り出すのでしょうか?この作品のような古代の実用的な機能にもかかわらず、今日美術館に展示されている殆どの作品は美しく、エリートによって所有されるべく作られていることは事実です。そう、ベントレーやフェラーリのように!
私たちが当たり前だと思っている、身の回りの線やデザインを称賛する時間を少しとってみましょう。特定の時間と空間に身を置いたとき、全体を見てこの瞬間は巨大な可能性の範囲における小さい欠片であると理解することは困難です。そしてこれも過ぎ去って、後からくる人々の目には奇妙で、風変わりで不可解なものだと思われるでしょう。今日は、未来で開催されている大きな美術館に住んでいるふりをして過ごしましょう。
アルトゥル・デウス・ディオニシオ