釣りをする二人の少女 by John Singer Sargent - 1912年 - 55.9 x 71.8 cm 釣りをする二人の少女 by John Singer Sargent - 1912年 - 55.9 x 71.8 cm

釣りをする二人の少女

油彩、カンヴァス • 55.9 x 71.8 cm
  • John Singer Sargent - January 12, 1856 - April 14, 1925 John Singer Sargent 1912年

この絵に描かれているのはサージェントの2人の姪、ローズ=マリー・オーモンドとレーヌ・オーモンドで、1912年にフランス・アルプスに旅行に行きアブリエスの村に滞在していた時の姿です。2人の少女は、渓流の冷たい雪解け水でできた渦巻く流れのそばに座っています。しゃがむような姿勢で軽く岩に腰掛けた2人は、静かにじっくりと釣りのことを考えています。そのポーズには、あらゆる家族旅行で見られるような自然さがあります。芸術界が印象主義、フォービズム、キュビズムへと次々に注目していたときに、サージェントはベラスケス、ヴァン・ダイク、ゲインズバラを驚くほど参考にし、自分なりの写実主義を実践しました。サージェントには、巨匠たちの作風を現代風な様式へと描き変えることを難なく行っているかのように見せる器用さがあったことから、驚くべき技巧が詰まった肖像画を依頼される流れが生まれ、サージェントは「現代のヴァン・ダイク」というあだ名を付けられることととなりました。それでも、サージェントの作品は生前、一部の画家仲間から否定的な反応をされていました。カミーユ・ピサロは「彼は熱心な人ではなく、むしろ器用なパフォーマーだ」と書き残していますし、ウォルター・シッカートは「サージェント崇拝(Sargentolatry)」という見出しで風刺的な言葉を書いて出版しました。亡くなる頃までには、サージェントは時代遅れの人、金ぴか時代の遺物、そして第一次世界大戦後の芸術感情と歩調の合わない存在として、退けられてしまいました。

明日は母の日です――今日の作品を、私の母の愛すべき記憶に捧げたいと思います。母なら気に入ってくれることでしょう。