木桶の中の花束 by Jan Brueghel - 1606〜1607年 - 97.5 cm x 73 cm 木桶の中の花束 by Jan Brueghel - 1606〜1607年 - 97.5 cm x 73 cm

木桶の中の花束

油彩、木板 • 97.5 cm x 73 cm
  • Jan Brueghel - September 13, 1601 - September 1, 1678 Jan Brueghel 1606〜1607年

ウィーンの美術史美術館に所蔵の作品をご紹介するお時間です。今日ご紹介する作品は、先週の日曜日にお見せした三連祭壇画ほど真面目なものではありません。 :)

1600年以降、花を描くことは、静物画における独自のカテゴリーへと発展しました。ヤン・ブリューゲル(父)はこのジャンルを代表する画家の一人とされており、ブリューゲル作とされる花を描いた絵画は16点あります。豊かで繊細な質感で描く技術を持つことから 「ビロードのブリューゲル」と呼ばれたブリューゲルは、フランドルの画家が活躍した時代における、第二世代の画家です。

ブリュッセルで生まれ、祖母から絵を教えられたブリューゲルは、当時有名な画家となり、1602年にはアントウェルペンの画家組合の長となります。ブリューゲルは、ヨーロッパ中を広く旅しました。1590年代半ば、イタリアに3年間旅行していた間には、ブリューゲルが描く非現実的な空間や期待を裏切る展望と、実物を元に描かれた花や動物との組み合わせに対して、枢機卿フェデリコ・ボロメオが大いに喜び、彼のパトロンとなっていました。 

《木桶の中の花束》は――これまでに制作された花を表現した作品のうち、最も有名なものの一つです――現実の花束をそのまま反映したものではなく、代わりに貴重な種の花々を、概観として百科事典のように描いたものです。芸術と科学的好奇心が極めて注意深く組み合わさり、130種類もの異なる花が巧みに再現されています。