本日はクレラー=ミュラー美術館から、1890年5月に制作されたゴッホの晩年の作品の一つをご紹介します。『悲しむ老人(永遠の門)』は、ゴッホの初期の線画をもとに描かれた作品です。この頃、ゴッホは健康状態が悪化していて、療養中でした。このリトグラフは、1882年にハーグの救貧院で、年金生活者で退役軍人だったアドリアヌス・ヤコブス・ズイデルランドを描いた一連の習作のひとつが基になっています。その後、彼はこのリトグラフと、同じくズイデルランドが元になった他の2枚の絵について、珍しく自らの宗教的感情を表現した文章を残しています。「この2枚と最初の老人の絵の意図は同じで、クリスマスと新年の特別な気分を表現することだ。...この形に賛成か反対かはともかく、それが誠実なものであれば尊敬に値するし、私自身は、それに十分共感でき、必要だとも感じられる、少なくとも、その種の老人と同じように、私には高いところにあるものを信じる気持ちがある、たとえそこに誰が、もしくは何があるのか、はっきりとはわからなくとも。」




悲しむ老人(永遠の門)
油彩/キャンバス • 80 x 64 cm