John Singer Sargent
今日の絵画は、この美しいサージェントの作品を所有しているテラ・アメリカン・アート財団のご協力のもと、ご紹介いたします。お楽しみあれ！
ジョン・シンガー・サージェント作《カルコットにて絵を描くデニス・ミラー・バンカー》には、仕事に取りかかっている画家の姿が描かれています。サージェントはこの光景を、印象的に典型的な、強い色合いによる素早く独特な筆遣いで描いています。絵の表面には、描き表されているものと同様に、1880年代に進歩的なアメリカの画家たちが、サージェントの友人であるクロード・モネに倣って使い始めた、外光派的な描画過程が実体感を持って刻まれています。
サージェントがこの作品を描いたのは1888年の夏、カルコット・ミルの郊外であり、ロンドンからは西に電車で1時間ほど離れたところです。デニス・ミラー・バンカーはこの英国の田舎で共に過ごそうと誘われたのです。カルコットで、この2人の芸術家は野外で絵を描くことも、自然の光と色が持つ透明感のある効果を捉えるために直にキャンバスに描くことに実験的に取り組みました。2人で絵を描きに小旅行に出かけるときには、この絵に描かれている女性であるサージェントの妹ヴァイオレットがよく同伴したのですが、彼女はバンカーとの間に恋愛的な関係を築いていたのではないかと言われています。