フィンセント・ ファン・ゴッホ
1889年5月、ゴッホはアルルからそう遠くないサン＝レミにあるサン＝ポール＝ド＝モーゾール精神病院に収容されました。最初の1ヶ月、彼は松林の庭がある塀の外へ出ることを禁じられていました。その庭が彼の発想を広げ、新しい課題とモチーフの源となったのです。
この作品を、ゴッホは病院の壁際という独特の視点で描いています。石のベンチが置かれた道を斜めに配することで、画面の奥行きが際立っています。また、花をつけて生い茂る低木を、絡まるように分厚く塗り重ねて描いています。色と形に溢れていますが、構図は奥行きがあり立体的です。
前年の9月、ゴッホはアルルから姉に宛てて手紙を書いています。その中で彼にとっての色彩の意味をこう述べています。「私たちには励ましや幸福、希望、そして愛が必要です。一方今の僕にあるのは醜く、古く、卑しい、病的で貧相なものだけです。だから、明るい色遣いとうまい配置、そして華やかな絵でそれを覆したいのです」
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