ルネッサンス後期の巨匠ジュゼッペ・アルチンボルトは奇妙な寄せ絵で有名です。彼の作品は単作のことも連作のこともありましたが、頭部が植物や動物はじめ、例えば「四季」や「四大元素(土、空気、火、水)」など、彼の考えるテーマに相応しい物体の合成で形づくられています。
"ARCIMBOLDUS F" というサインが、右側の樹皮をめくった枝に見えます。この絵は、アルチンボルトの友人のグレゴリオ・コマニー二によって書かれ、1591年に出版された長編対話集『イル・フィジーノ』でも取り上げられています。ミラノの画家アンブロー・フィジーノは「コマニー二にアルチンボルトの『四季』の悪ふざけを解説させれば、素晴らしい作品になるだろう」というアドバイスを受けました。フィジーノはこの絵のことを正確に記述した後、「この作品は人々を素晴らしく楽しませる」と確信します。
アルチンボルトの他の作品は突飛なものがほとんどですが、それらと比べてこの作品の醸し出す雰囲気はやや暗く、憂鬱です。「四季」もアルチンボルトの他の寄せ絵と同様、ミラノの大先輩レオナルド・ダ・ヴィンチによる人相学の研究と深い関わりがあります。アルチンボルトが故郷へ帰った後の1590年ごろに描かれたこの「四季」は彼の晩年の作品の一つです。彼の人生の冬における自画像ではないとしても、この作品は彼の最高傑作です。