Edgar Degas
今日も引き続き今月の特集です。今日はスコットランド国立美術館からもう一つ名画をご紹介します。お楽しみください！
この絵はドガの晩年の作品としては比較的小さな作品です。そして実はバレリーナのポーズの中には1870年頃の初期のバレエ作品に見られるものもあります。バレリーナ達はまもなく始まる舞台に備えています。位置関係を確認したり、身をかがめてシューズのひもを結び直している者もいます。バレリーナ達の個人は特定できません。これは彼が過去に目の当たりにした場面の記憶であって、そこに個人の顔は無いのです。鮮やかな色彩は躍動的で、非写実的。劇場のガス灯が作り出す幻想的な光景を思わせます。ステージ上に広がってよどむ影もどこか抽象的。このことから1890年代後半になるとドガはそれまでになく自然主義を意識することが少なくなっていったことがわかります。彼の油絵具の使い方はとても繊細で、まるで不透明水彩で描いたようにすら見えます。