ティツィアーノ（ティツィアーノ・ヴェチェッリオ）は、ピエーヴェ・ディ・カドーレというアルプス山脈のうちヴェネツィア方面にあるドロミーティ山脈の麓の小さな町で生まれました。彼は16世紀のヴェネツィアでもっとも偉大な画家であり、主に海外の顧客から注文を受けていた最初の画家でもありました。長い画家としてのキャリアで、彼はその時代の芸術の発展を体現するような様々な絵画様式を試みました。
この絵は17世紀には「スラブの女性（ダルマチアの女性）」として知られていますが、1510～1512年に描かれたものとみられています。手すり上に書かれた署名の「T.V.」は、おそらくティツィアーノ・ヴェチェッリオの頭文字を表しています。画面の真ん中から高くなっている手すりは後から描かれたもので、その背後に、もともと描かれていた襞のある洋服の生地が今も透けて見えています。骨董のカメオに触発されたと思われる横顔の彫像のモデルは、左側に描かれた女性と同一人物のように見えます。
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