スペイン人、先住民、メスティーサ by Miguel Mateo Maldonado y Cabrera - 1763年頃 スペイン人、先住民、メスティーサ by Miguel Mateo Maldonado y Cabrera - 1763年頃

スペイン人、先住民、メスティーサ

油彩、キャンバス •
  • Miguel Mateo Maldonado y Cabrera - 1695 - 1768 Miguel Mateo Maldonado y Cabrera 1763年頃

可愛らしい絵画ではありますが、背景となるお話はそんなに良いものではありません。新世界の植民地の多くと同様に、スペイン領メキシコはかなり人種差別が横行した場所でした。カスタ (カースト) 制度は人々を分断しました。スペイン人とメキシコ先住民やアフリカ人、その他メキシコに住んでいた様々な人種の人々が、人種を越えて結婚すると、生まれた子は蔑称を与えられることとなったのです。

これは16枚のカスタに関する絵画のうちの一つで、メキシコ人の芸術家ミゲル・カブレラが描いたものです。絵画はそれぞれ、人種の異なる様々な二人とその子供を描いており、それぞれのカスタは絵画上部にしっかりと示されています。肌の色や顔の特徴に加え、衣服、背景、職業が、各カスタの社会的地位をほのめかしています。この絵画で描いているのは、スペイン人の父親と、メキシコ人 (先住民、インディオ) の母親と、メスティーサの娘です。父親は当時のスペイン人のファッションに身を包んでいる一方で、母親と娘はよりエキゾチックな服装をしており、布地を売る市場の店の前に立っています。

カスタ絵画というジャンルは――他の多くの芸術家も描いたものですが――必ずしも現実を反映しているわけではない、冷酷な偏見を示してしまっています。カブレラが描いた絵画は、他の多くの絵画に比べると少し同情的で、それにはもっともな理由があります。カブレラは、自分は完全なスペイン人だと強く主張していましたが、歴史家によれば、実際はおそらく絵画の中の少女と同じくメスティーソであったのではないかと考えられているのです。

- Alexandra Kiely