これは二枚組の半円形銅板のうちの一枚で、1129年から1171年までウィンチェスターの司教だったヘンリー・オブ・ブロアを描いたものです。ヘンリーは彼自身の多才な才能だけでなく、伯父でイングランド王のヘンリー 1世の後見を得ていたことでも知られています。また1135年には兄のスティーブンが王位を継ぐことを後押ししました。
ヘンリー・オブ・ブロアの人生は波乱に富んだもので、日和見的で権力に貪欲だったといわれていますが、一方で建築や文学など様々な芸術の保護者でもありました。 多くの聖職者達がそうであったように彼も芸術を愛しましたが、この銅板は彼の熱心さをよく表現している貴重な一枚です。
この銅板で彼は携帯用の祭壇の前でぬかずいています。ヘンリーは自身のことを、もう一方の銅板に刻まれた碑文の中では英国の安泰と繁栄のために仕える「奴隷」と言い表していますが、ここでは彼の芸術愛が謳われています。ヘンリー曰く、「芸術」は「黄金や宝石よりも大切で」、彼自身は「神に贈り物を捧げつつ」「この銅の中に生きつづける」 。 これらの銅板が捧げられた目的はわかっていませんが、ヘンリー自身は神や芸術、そして時空を超えた美への愛と献身の証としてこの銅板を作らせたことは確かなようです。
- ステファニー・スケニヨン
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