中世イングランドは彩られた写本を数多く制作したが、ウィンチェスターバイブルほど印象的で大きなものは一つもありません。12世紀に最も大きな英語版聖書であるウィンチェスターバイブルは、イングランド領ステファン王の兄弟、ウィンチェスター領ブロワ公ヘンリー司教新案のように思えます。建築と文学の多大な後援者であったヘンリー司教はこの聖書の制作を命じました。そして今日では、その聖書は468枚にのぼり、120cmほどの大きさになります。残念ながら、この傑作は完成には至りませんでした。テキスト自体は完全な状態ですが、その装飾のいくつかが不完全で抜け落ちています。今回紹介しているページは印象に残る例外と言えるでしょう。
サムエル賞のいくつかのシーンを描いていく中で、今日の聖書で別の2ページが完全な絵となっていますが、このページにのみが色を塗られた一枚です。弾幕上部にはソールが描かれ、その左に剣を持って立ってるデイヴィッドがゴリアスを殺そうとしているのを眺めています。弾幕中段には二つのシーンがあります。最初にソールがデイヴィッドに槍を突き立てているもの、もう一つはサムエルがデイヴィッドを任命しているシーンです。弾幕下段では、ヤコブがアブサロムを殺そうとしており、もう一方でデイヴィッドが彼の息子の死を嘆き悲しんでいます。この一枚が聖書に含まれるよう意図されていることについては疑いの余地がありませんが、この一枚が実際に飾られたかどうかは不明です。その当時の状況を加味すると、中世に一定のマナーを持って展示されていたのかもしれません。この印象的で鮮明な絵たちは司教ヘンリーの非現実的な意図を証明しており、言葉と絵画に信仰を持っていた証と言えるでしょう。
ーステファニー・スキーニオン
P.S.リンブルグ兄弟と共に彩られた年を過ごしてみて下さい!類に見ない至高の時間、この世界で最も時間を費やされたであろう有名な本を、こちらで読んでみて下さい!