この絵を見たら、19世紀フランス絵画が嫌いな人などいないということがわかりますよね?
本作は、ダンテの『神曲』の一場面、ダンテとその案内役ウェルギリウスの地獄遍歴を題材にしています。絡み合いながら永遠の戦いを繰り広げる、忌まわしい二人の魂を見つめる作者とその案内役。異教徒の錬金術師カポッチオが、首に噛みつかれています。噛みついているのは、不正に遺産相続をしようとした詐欺師ジャンニ・スキッキ。
1850年代、ロマン主義の芸術家の間で、ダンテは高い人気を誇っていました。詩人で批評家のテオフィル・ゴーティエは、この作品を次のように絶賛しています。「憤怒に燃えるジャンニ・スキッキが宿敵カポッチオに襲いかかる。ブグローは、筋肉と神経、腱と歯の描写によって二人の戦いを見事に表現している。このカンヴァスには苦痛と力強さがある。力強さ、まれに見るクオリティだ!」
この絵はおぞましさと恐怖に満ちていますが、ブグローは以後けっしてこのテーマを採り上げることはありませんでした。
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