うずくまる女 by Eugène Delacroix - 1827年 - 24.6 × 31.4 cm うずくまる女 by Eugène Delacroix - 1827年 - 24.6 × 31.4 cm

うずくまる女

黒と赤のチョーク, パステル, 白チョークで強調, オーバー・ウォッシュ/褐色の紙 • 24.6 × 31.4 cm
  • Eugène Delacroix - 26 April 1798 - 13 August 1863 Eugène Delacroix 1827年

『うずくまる女』は、フランス・ロマン主義の中心人物としての評価を確固たるものにした、ウジェーヌ・ドラクロワの傑作『サルダナパールの死』(デイリーアートのアーカイブで見れます)のための5点のパステル画の習作の内の1点です。ドラクロワの数少ないパステル画の中でも、特定の油彩画との関連が明らかな唯一の連作。イギリス・ロマン主義の詩人バイロン卿の1821年の戯曲に着想を得て制作した『サルダナパールの死』は、アッシリアの最後の王をドラマチックに描いています。自軍を敗北に追い込んだ敵軍によって虐殺されるのを防ぐべく、王は妻たちや愛妾、家畜の殺害を命じます。自らも死を覚悟してベッドに横たわり、死にゆく彼らを無表情に見つめる王。感情を露わにした愛妾の一人の姿に、画家は恐怖の瞬間を凝縮させました。突き立てられるナイフの動きから逃れようと躍動する人物の張りつめた姿が、しっかりと弧を描く線で描写されています。この迫力ある人物は、完成作からは意図的に削除されましたが、このパステル画からはドラクロワの制作プロセスをうかがい知ることができます。画家が生み出した官能的なドラマは、ロマン主義の時代を代表する作品となったのです。

素晴らしいですよね。

P.S. ウジェーヌ・ドラクロワについてもっと知りたい方はこちら