『冬の風景、夜の雰囲気』は、フィンランドの画家ファニー・チャーバーグのキャリア最後の作品の一つ。国内で、そして後にドイツ、デュッセルドルフで絵を学んだ彼女は、夏の間は制作のために母国に戻るのが常でした。パリで学んだフィンランド人画家の先駆けでもあったチャーバーグの画風には、デュッセルドルフ派の流儀が色濃く見られますが、一方でその色遣いと素早い筆さばきには、田園地帯のドラマチックな情景への愛着が率直に表れています。今日の作品はその好例。雷雨の気配をはらんだ開けた土地の張りつめた雰囲気や、森の奥深くの沼地の描写に代表される彼女の絵のクオリティの高さは、同時代の画家のそれとは明らかに一線を画しています。
チャーバーグのキャリアは、1880年に突然幕を閉じます。結核に苦しむ兄のトルステンの世話を焼き、自身の健康まで害してしまった彼女は、1882年の兄の死ですっかり孤独になり、生きる意欲も衰えてしまったようです。 仲の良かったもう一人の兄ウォルデマールは1877年に既に結婚していました。かつて受けた辛辣な批判も、画家としてのキャリアにピリオドを打つ理由だったようですが、画家仲間との付き合いまで完全に絶った訳ではありませんでした。1880年を最後に画家として筆をふるうことはなくなりましたが、趣味で描くことは続けました。画家として生涯に遺した作品は300点を超えます。
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