サミュエル・イェスルン・デ・メスキータは、第二次世界大戦以前に活躍したオランダのグラフィックアーティスト。彼の教え子には画家のM・C・エッシャーもいます。セファルディム系のユダヤ人だった彼は老年期、ナチスによりアウシュヴィッツへ送られ、妻とともにガス室で殺害されました。大戦後にメスキータの存在はほとんど忘れられてしまいましたが、DailyArtで彼の作品を紹介すべき時が来ました。
メスキータは様々な技術や媒体を試みながら、もっぱら美術制作に身を捧げました。主に木版が有名ですが、エッチング、リトグラフ、水彩、ドローイングも制作しています。彼の応用美術の多くは有形物をデザインしたもの。作品の主題は鳥、異国の動物、植物、花、さらに空想的な表現もあり、ユーモアと不気味さのどちらも持ち合わせています。メスキータの最も美しい作品の一つは肖像画で、特に自画像です。 すっきりした簡潔さと主役の形へ集中した表現が、彼の作品の特徴です。
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P.P.S. ホロコーストを生き延びたコミュニストで画家、エルナ・ローゼンスタインの心動かされる物語をお読みください。