白状すると、私は、古代スカンジナビア芸術としても知られている、ヴァイキング・アートには詳しくありません。今日は、無知を脱却する良い機会です!
今日紹介するのは数点のタペストリー。総称してオーバーホグダル・タペストリーと呼ばれています。スウェーデンのヘリエダーレン地方にあるオーバーホグダル村で発見された、極めて保存状態の良い織物で、その起源はヴァイキング時代末期もしくは中世初期にまで遡ります。非常に良好な状態で今に残る、濃い色彩と様々な人物像やシンボルは、往時を伝える貴重な記録です。
オーバーオグダル・タペストリーには、古代スカンジナビア文化とキリスト教に由来する文化の両方を背景とする図像が描かれているとされていますが、それが意味するメッセージについては様々な説があります。例えば、オーディン(訳注:北欧神話の主神)が騎乗する軍馬スレイプニルの詳細な描写など異教のイメージがある一方で、明らかにキリスト教的図像も描かれています。他にも、様式化された動物、濃紺と赤で彩色された馬、鳥、人物。船や樹木、碑文も見られます。現存する4枚のタペストリーには、323人の人物と149の動物が描かれ、そのすべてが左に向かって前進しているようです。ヘリエダーレン地方のキリスト教化を表しているとする説もありますが、放射性炭素年代測定の結果にも裏付けられて、今日では、北欧神話の中で予言されている世界の終末「ラグナロク」を描写しているとする説が主流となっています。
P.S. アートを通して北欧神話をもっと学びたい方はこちら!