カール・クリスチャン・ハンセンは、デンマーク絵画の黄金時代を担った画家の一人。文学と神話に傾倒し、古代スカンジナビア神話に材を取った国民的歴史画の制作にも挑みました。多くの祭壇画や記念碑的絵画も描いていますが、今日紹介するのはまったく毛色の異なる1点。カップを前にした少女の親密な肖像画です。私たちが、紅茶かホット・チョコレートを飲もうとする少女の手を止めてしまったかのよう。「何がご用?真面目な考え事をしてたのよ」と少女の視線が訴えています。
デンマーク黄金時代についても少し触れておきましょう。それは、19世紀前半のデンマークで起こった極めて創造性豊かな時代。コペンハーゲンは火事や爆撃、国家の経済的破綻などに苦しんでいましたが、芸術の世界ではドイツ・ロマン主義に触発された新たな創造の時代に入ったのです。当時の重要な芸術家としては、クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベルグ、そしてヴィルヘルム・ベンズ、クリスチャン・ケプケ、マーティヌス・ラービュー、コンスタンティン・ハンセン、ヴィルヘルム・マーストランらのエッカースベルグの弟子たち、彫刻家のベルテル・トルバルセンなどが挙げられます。デイリーアートのアーカイブでチェックしてみてください。
今日の作品は、コペンハーゲン国立美術館の協力で紹介しました。
P.S. デンマーク美術にはお薦めがたくさん!スケーエンのデンマーク印象派の素敵な作品をこちらでご覧ください!
P.P.S. 思いがけない魅力的な絵をもっと見たい方は、2023年版カレンダーと手作りの日本アートのスケジュール帳をチェックしてみてください。きっと気に入っていただけると思います。