コーヒー

今日紹介するピエール・ボナールの作品は、パリのサン・ジェルマン・アン・レイに借りていた自宅で制作されたと思われます。描かれているのは妻のマルト（犬も重要な役割を果たしています）。ボナールは、家庭生活の情景を主題として好みました。『アフタヌーン・ティー』という名でも知られる『コーヒー』では、油絵具が力強く、大まかに塗られ、テーブルクロスの赤と白を始めとして、色が互いに混ざり合っているのがわかります。画家は、朱色、カドミウム・イエロー、ストロンチウム・イエロー、カドミウム・オレンジ、コバルト・ブルー、プルシアン・ブルー、ナチュラル・ウルトラマリンといった強い色を選んでいます。

第一次世界大戦中に制作された『コーヒー』は、ボナールが世界の出来事から身を隠し、身の回りの物事だけに注意を向けていたことを示唆していると指摘する美術史家もいます。その通りかもしれませんが、ただ彼が内向的なだけだったのか、あるいは家庭の親密な情景への愛情の現れなのかもしれません。 

P.S. 今日の絵を見て、朝の（もしくは夕方の）コーヒーを淹れようと思った方は、コーヒーを飲む人を描いた素敵な絵をチェックしてみてください。

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