近代ローマ、カンポ・ヴァチーノ by Joseph Mallord William Turner - 1839年 - 122.6 x 91.8 cm 近代ローマ、カンポ・ヴァチーノ by Joseph Mallord William Turner - 1839年 - 122.6 x 91.8 cm

近代ローマ、カンポ・ヴァチーノ

油彩、カンヴァス • 122.6 x 91.8 cm
  • Joseph Mallord William Turner - 1775 - December 19, 1851 Joseph Mallord William Turner 1839年

ローマへの最後の旅から10年後、ターナーは記憶のヴェール越しに、永遠の都(訳注:ローマの別名)を思い描きました。フォロ・ロマーノの中や周辺にあるバロック様式の教会や古代の記念碑が、左側に昇る月と、右側でカンピドリオの向こうに沈む太陽から注がれる、虹色の光の中で溶けていくようです。こうした美しい景色の中で、市民たちは日々の生活を送っています。この絵画の真珠のような色合いや揺らめく光の効果には、最も熟達した時期のターナーがよく表れています。

1839年、ロイヤル・アカデミーで最初に展示されたときには、バイロンの傑作『チャイルド・ハロルドの遍歴』(1818年)から引用し改変された言葉が添えられていました。「月は昇った、だが夜ではない、太陽はまだ彼女と昼とを分けている」この詩と同じくターナーの描く絵画は、ローマが持つ永久の崇高さを喚起させるものであり、それは歴史上の芸術家たちにとって現実世界の場所というよりも、架空の世界の場所であるのです。

P.S. 廃墟がもつ心に残る美しさは、幾世紀もの間、芸術家たちを魅了してきました。このことについてさらに知りたい方はこちら