ダンテとベアトリーチェ

ダンテは、自叙伝的作品『新生』で、ベアトリーチェ・ポルティナーリへの、深いながらも秘められた愛の発展を記録に残しました。その物語には、彼らが偶然道ですれ違った時、ベアトリーチェは誤解のために、その偉大なイタリアの中世の詩人に気付けなかったという出来事があります。この絵の３人組の女性のうち中央がベアトリーチェで、ダンテから目をそむけています。画家は見事に、３人の個性、服装、仕草の差異を際立たせました。ベアトリーチェの右にいる友人のモナ・ヴァンナからは社交的な雰囲気がにじみ出る一方で、ベアトリーチェは前方を集中して見つめています。

今日紹介している絵で、イギリスのヴィクトリア期の画家ヘンリー・ホリデイは、ダンテの深遠で非現実的な愛の物語におけるとても大きな期待外れを、単なる社交の場面というレベルまで減らしました。本作は13世紀のフィレンツェの衣装、建築物、街角に対する画家の緻密さを堪能できる一方で、ダンテを絶望の淵へ追いやった、胸が痛むほどの拒絶への衝撃は、明らかに無くされています。 

P.S. DailyArtの2024年カレンダーはこのような美しい絵に溢れています。2024年のおともにピッタリなので、 DaiyArtショップでチェックしてください！

P.P.S. 叙情的なラブストーリーが大好きな方にとっておきのものを。美術に描かれた5つの神秘的な愛の物語です！