イタリア貴族出身の女性で、ピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチ(フィレンツェの事実上の領主)の妻であり、政治顧問でもあり、当時最も権勢を誇った女性の一人、ルクレツィア・トルナブオーニは、1427年の今日、この世に生を享けました。夫そして息子、ロレンツォ・イル・マニーフィコの統治下で大きな政治的影響力を持っていたルクレツィアは、幾つかの施設に出資をして、貧者の要望を支援すべく関係改善に努めると共に、芸術を庇護し、自らも詩や戯曲を書きました。
暗い緑がかった青の背景を背に、胸から上が描かれた彼女は、向かって左側を見つめています。両腕は膝の上に置いているようです。頭巾をかぶり、ほぼ横顔の表情に特徴的なのは、カーブを描く眉毛の下の薄茶色の目、なだらかな鼻、とがったあご、そして軽く閉じたピンク色の薄い唇。きれいに後ろに束ねられた髪は白い頭巾で覆われ、額と顔の両脇を覆う象牙色の半透明のヴェールがその上に掛けられています。ヴェールにアクセントをつけているのは、頬から頭の後ろまで延びるチャコール・グレイの筋。ボディスとドレスの袖は黒。もう1枚のヴェールが胸と肩を覆い、ドレスの編み上げ部分からはワインレッドの生地がのぞいています。
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P.P.S. 今日紹介したルネサンス期の傑作の暗青色の背景を見たら、レオナルド・ダ・ヴィンチの美しい肖像画を思い出すかもしれません。どの作品のことかわかりますか?その絵の裏には、悲劇の愛の物語と1匹の白貂が!