1908年の晩夏に、バレンシアのマルバロッサ海岸で描かれたこの傑作に表現されているのは、スペインの画家ホアキン・ソローリャが愛したもの、即ち海と、地元の漁村の日常生活の断面です。舞台は海上。シンプルで堂々とした優雅さを湛えた漁師の仕事ぶりが描かれています。立派な帆が作る影の下、大きな漁船の船尾に座る二人の人物。帆と木製のデッキには陽光が降り注ぎ、穏やかな波が船体に打ち寄せる中、二人は優美な大型船を楽々と沖へと進めています。光と水が織りなす環境に身を置く人物の描写には、色彩と質感を巧みに操るソローリャらしさが見て取れます。画家の技量は、流れるような筆遣いと鮮やかな色彩だけでなく、日常の労働の場面に崇高さを見出す表現力にも表れていますが、それは古典からの影響と、故郷バレンシアの自然の美しさの両方を活かした結果なのです。
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P.P.S. ホアキン・ソローリャは1911年から、スペイン各地の類まれな豊かさを描いた、壮大な記念碑的連作を制作しました。この連作のタイトルをご存知ですか?答えはこちら。