今日の絵の場面は、その非常に高いドラマ性のために、バロックの画家のあいだで最も人気だったものの一つ。聖書の「ユディト記」から引用された物語で、ユディトが将軍ホロフェルネスを誘惑した後に殺し、人々を救うというお話です。殺害ののち、侍女のアブラが切断された頭を袋に包み、ユディトのほうは周囲を見張っているという瞬間が描かれています。
本作を描いた画家アルテミジア・ジェンティレスキは強い女性で、大きな困難にもかかわらず、尊敬されるべき画家として自身を確立させました。美術史家には、この絵(とジェンティレスキによるこの場面を描いたその他3作品)を、画家の私生活の復讐と解釈する人もいます。オラツィオ・ジェンティレスキ(著名な画家)の娘でまだ10代だったアルテミジアは、1612年にアゴスティーノ・タッシ(父の画家仲間)を、彼女を強姦したことと、工房から絵をだまし取ったことに対し訴えを起こします。裁判は7ヶ月にもわたり、ローマを震撼させました。ジェンティレスキは最悪の方法で有名人となったのです。タッシは有罪判決を受けましたが、実際に彼には何も起こりませんでした。アルテミジアは裁判後も画業を続け、聖書の女性たちの強さを表現し続けたり、女性たちが自らの意思で置かれた状況に反逆していると解釈できる絵を描き続けました。
今日は国際女性デー。バロック美術の天才の一人による、この素晴らしい絵を楽しんでいただけたなら嬉しいです。
P.S. この絵は女性画家ノートブックにも載っていますよ!
P.P.S. アルテミジア・ジェンティレスキの美術はカラヴァッジョの画風に強く影響を受けており、両者の絵を見分けるのが難しい時もあるほど。それについて興味はありますか? これらの絵はどちらが描いたか分かりますか? クイズに挑戦してみましょう!
P.P.P.S. ジェンティレスキの作品をさらに見るには下の記事へ!