ル・ラット・モール(「死んだネズミ」の意味)という、パリのモンマルトル地区にあったカフェレストランは、アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレックが晩年に通った行きつけの場所でした。画家は、パリジャン御用達のバーやナイトクラブ、そして、そこで夜遊びする人々を描くのが大好きでした。本作のエレガントな装いの女性は、高級娼婦のルーシー・ジュールダンだとされています。人工的な照明に照らされた彼女の笑い声とぼんやりした眼差しが、手前のシャンパン・セットの影響をほのめかします。彼女のデート相手は、顔のところで見切れているため、誰なのか分かりません。表情に富んだ筆致が、激しい赤と緑という目を引く色彩、そして非現実的なランプの明かりと組み合わせられ、モンマルトルの夜の風景が醸す、退廃期の魅惑をありありと呼び起こします。
皆さん、素晴らしい土曜日をお過ごしください!
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