幼いトーマスと母 by Mary Cassatt - 1893年 - 60 x 50 cm 幼いトーマスと母 by Mary Cassatt - 1893年 - 60 x 50 cm

幼いトーマスと母

パステル、網目紙 • 60 x 50 cm
  • Mary Cassatt - May 22, 1844 - June 14, 1926 Mary Cassatt 1893年

今日でペンシルベニア美術アカデミーの特集月間が終わります。お楽しみいただけたでしょうか。今日の絵もまた特別なものです。作者のメアリー・カサットは、そのアカデミーと大いに繋がりのある人でしたから——彼女は16歳でペンシルベニアアカデミーへ入学しました。

6年後、彼女は家族の手厚い支援を得て、さらなる勉強のためにヨーロッパへ行き、ゆくゆくはヨーロッパとアメリカの両美術史において同じく賞賛されることとなるキャリアをスタートさせます。短期間で仕上げるパステルという画材を取り扱う卓越した技術のほか、空間的な試み、大胆な手法。現代的な主題に関心を持っていた彼女は1870年の印象派の始まりとなる展覧会へ招かれました。『幼いトーマスと母』は、カサットが1880年代に研究し始めた、母と子という題材の作品の中のひとつです。これは、とある特定のモデルを描いた数枚のパステル画のうちの一枚です。とても親密で近寄った構図のこの肖像画は、緻密な観察の自然主義と、大雑把で抽象的な部分との間を揺れ動きながら、叙情性と大胆な緊張感を画面に吹き込んでいます。カサットの主題の世界は、ときに俗世を捨てた禁欲的なものだと誤解されますが、しかしそれは彼女が暮らした広い世界のたった一部です。彼女は活動的に、フランスやアメリカの美術界に参加していました。いつも、先進的な絵画をアメリカの裕福なパトロンたちへ勧めており、彼らは勧めを受けて気前よく購入していました。それらのコレクションの多くが、現在ではアメリカの美術館における印象派美術の素晴らしく貴重な所蔵品の中心となっているのです。

メアリー・カサットはフランス印象派における最も重要な画家の一人です。 フランス印象派メガコースでさらに学んでみましょう!

P.S. メアリー・カサットの絵は、美術の慣習的な障壁を打ち破ろうともがき、子供の世話の主な担い手として女性が請け負った重要な役割を強調しています。こちらは彼女の、母性を描いた美しい肖像画5選です。