天球図 by Seyyid Loqman Ashur - 1583年 - 64.7 x 41.3 cm 天球図 by Seyyid Loqman Ashur - 1583年 - 64.7 x 41.3 cm

天球図

インク, 紙, 水彩絵具, 金, 漆 • 64.7 x 41.3 cm
  • Seyyid Loqman Ashur - active c. 1569 - 1596 Seyyid Loqman Ashur 1583年

今日はユニークな作品を紹介します!これは、16世紀の(オスマン帝国の)皇帝ムラト3世に捧げられた、「ズブダット・アル・タワリク(Zubdat al-Tawarikh)」という名の、豊富な挿絵入り写本の一部です。この写本には、16世紀後半、円熟期に入ったオスマン帝国宮廷様式の特徴が見られる、40点の見事な細密画が収録されています。「ズブダット・アル・タワリク」の中の最初の細密画は、7つの天、黄道十二宮、月宿(訳注:天球上の月の通り道を28の区画に分割したもの)に囲まれた地球が描かれた天球図で、大宇宙を象徴しています。素晴らしいですね!

オスマントルコの細密画芸術が最盛期を迎えたのは、16世紀、特にスレイマン大帝とムラト3世の治世。両王は芸術の偉大な庇護者でした。16世紀に制作された細密画の多くは、オスマン帝国の歴史に材を取り、当時の政治的、社会的な出来事を描写する一方、文学色の濃い写本制作には関心が払われませんでした。16世紀後半に増加した挿絵入り宗教書は、多くの場合、歴史に基づく枠組みの中で語られました。それはつまり、世界の歴史を説いた主要な書物において、オスマン帝国のスルタンは、コーランや聖書の預言者と系図上で関連づけられていたということです。「ズブダット・アル・タワリク」も例に漏れず、聖書と世界の政治史の要約。天地創造や、預言者と歴史上の偉人の物語、オスマン帝国の最初の12人のスルタンの系譜など、ムラト3世の治世までのトルコの歴史のほとんどを網羅しています。著者は、ムラト3世統治下のオスマン帝国宮廷付きの多作な史料編纂者セイイド・ロックマン・アシュリ。彼は、様々な資料に当たって、この世界史を編纂した経緯を序文で語っています。

P.S. 星、彗星、惑星。。美術史における天体の描写を見てみましょう。驚きの作品もありますよ!