オランダ黄金時代の巨匠、レンブラント・ファン・レインは、1606年の今日誕生しました。
その生涯にわたって、何十点もの自画像を描いたレンブラント。齢を重ねるにつれて変わりゆく容貌を捉えた自画像には、様々な感情を湛えた内省的な姿勢が見られます。光と影の劇的なコントラストで豊かな表情を際立たせた作品には、キアロスクーロの腕前が遺憾なく発揮されています。
今日紹介する見事な自画像は、青みがかった桃色の肌をした年老いた男の上半身像。眉間にしわを寄せ、くぼんた灰色の目でこちらを見つめています。背景は暗褐色。体は左に、顔は正面を向いています。ほんのりとピンク色を帯びた団子鼻、灰色の陰影のある、ややくぼんだ頬、うっすらと蓄えた灰色の口ひげとあごひげに縁取られた桃色の唇。金色の縁飾りのある茶色いベレー帽から覗くのは、ブロンズ・オレンジのラインで質感を加えた、柔らかくカールした鈍い灰色の髪。淡黄褐色のコートの黒っぽい襟を立て、首を隠しています。左上方から当たる光が、体と画面の右側に濃い影を落とし、カンヴァスの左半分は黄褐色と焦げ茶色の筆致の混成。暗い色のコートは背景と溶け合い、蔭になった左下の角に見えるのは組んだ両手。 画面には筆の動きが残り、それは顔の描写に顕著に表れています。絵には「Rembrandt f. 1659.」という署名と日付が記されています。
P.S. レンブラントについてもっと知りたい方は、「レンブラント絵画について知っておくべき10のこと」をご覧ください!以下のコラムも是非ご一読を。
P.P.S. レンブラントの作品は観る者を感動させます。アートに感動し、その時の思いを書き留めておきたい方は、デイリーアート・ストアでアート・ジャーナルをチェックしてみてください。