明るく、生き生きとした色遣いは、大西洋の向こうの絵画好きやコレクターに印象派を紹介したアメリカの画家、メアリー・カサット作品の特徴。ドガの友人だった彼女は、1879年から印象派展に出品しました。親しい友人や家族の肖像や、日常の暮らしにおける母子の親密さを好んで描いたカサット。『縫い物をする女性』とも呼ばれる本作は、屋外を舞台にしたカサットの典型的な作例で、1886年の最後の印象派展に出品されました。
色彩豊かな背景の核を成す対角線上に伸びる幅広の小道は画面に奥行きを与え、前景を占める若い女性の姿を強調しています。素早く、大まかなスカートの描写は、顔と胸のはっきりとした輪郭と対照を成し、描写の精緻さに対するカサットの絶え間ない努力を表しています。
P.S. メアリー・カサットは印象派展に出品した唯一のアメリカ人。この現実主義の画家(サロンでも成功しています)が、いかにして画風を変え、自由闊達な印象主義にシフトしたかを知りたい方は、フランス印象派オンライン・メガコースをチェックしてみてください。
P.P.S. メアリー・カサットは母子像の絵で知られています。カサットが描いた親子の素晴らしい作品をこちらでご覧ください。他のアメリカ人画家による作品については、以下のコラムもご一読ください。