1880年代にセザンヌは静物画に集中し、170点を超える作品を制作しました。木のテーブル、テーブルクロス、果物、糖菓つぼといった同じ静物を一貫して用い、それらの配置を変えることで新たな秩序や絵画的な答えを探求したのです。特筆すべきは、ヒナギク、カーネーション、ポピーなどの野草を初めてふんだんに取り入れたこと。装飾的なディテールに富んだこの作品は、シンプルな個性と形式上の厳格さを保ち、画面右側の豪華な部分と、暗い背景、涼しげな白いテーブルクロスとがバランスを取っています。
セザンヌが静物の配置を様々に変えたのは、それらを把握して理解するための彼なりのやり方でした。静物の特徴を強調するために、明るい昼光よりもアトリエの散光(訳注:乱反射して四方に散乱する光線)を好んだセザンヌ。その静物画に描かれた物は、日常的な物であれ、人工的な物であれ、自然な物であれ、通常の機能から切り離されています。そこには、世界を支配する法則に対するセザンヌなりの認識と、その複雑さを描写しようとする努力が反映されているのです。
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