フランスの画家マリー=ドニーズ・ヴィレールの絵に描かれているのは、木のベンチに脚を乗せて、白いバレエ・シューズの紐を結んでいる、黒いドレスの若い女。ベンチの上には1組の手袋とバラ。その視線が鑑賞者から逸らされていることで、画面に内省的で神秘的な雰囲気が漂っています。背景に見えるのは、嵐を思わせながらもロマンティックな空。
マリー=ドニーズ・ヴィレールは、肖像画を専門とした新古典主義の画家。その作品は、芸術における女性の表現に貢献した点でも重要です。当時の女性画家にとって、チャンスをつかんで名声を得るには大きな困難が伴いました。残念なことに、彼女の作品の何点かは、後にジャック=ルイ・ダヴィッドのような男性画家に帰属するものとされましたが、近年では美術史家の間で知名度が上がっています。
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P.P.S. ルーヴル美術館の最近の発見によれば、この魅力あふれる作品は実は自画像!ヴィレールの傑作を見てみましょう。そこに描かれた要素を近づいて見てみると、この画家の才能がわかります。