ピーター・カール・マッケイの肖像 by Mathilde Battenberg - 1915年 - 91.5 x 75 cm ピーター・カール・マッケイの肖像 by Mathilde Battenberg - 1915年 - 91.5 x 75 cm

ピーター・カール・マッケイの肖像

油彩/カンヴァス • 91.5 x 75 cm
  • Mathilde Battenberg - 1878 - 1936 Mathilde Battenberg 1915年

派手な衣装をまとったこの男は、泰然と物思いにふける様子が印象的。マチルド・バッテンベルグは、この肖像画を一度で描き上げました。モデルが当時34歳だったピーター・カール・マッケイと判明したのはごく最近のこと。故郷のセント・クロイ島(カリブ海の島)からヨーロッパへと広がった彼の人生は波瀾万丈でした。

美術学校のモデル、ピーナッツ商人、ドイツ帝国とワイマール共和国のサーカスのパフォーマー、そして最終的には英国の主要な競馬レースの予想屋として、ピーター・マッケイは名声を高めていきました。ヨーロッパに住む自分の周囲にあふれる植民地時代の幻想を巧みに、茶化すように利用したマッケイ。「ラス・プリンス・モノルル」といいう偽名を名乗って、機知に富んだエチオピアの王子の役割を演じました。華やかな色彩の衣装(後に凝った羽根飾りも加わることになります)をまとったマッケイは、当時の人種差別の常套句に意図的に応じる一方で、そんな態度を揶揄もしていたのです。

今日の作品は、10月27日までフランクフルトのシュテーデル美術館で開催中の『1900年頃のフランクフルトとパリの狭間の女性画家』展で見ることができます。

P.S. 残念ながら、西欧美術史では黒人の肖像画は稀です。黒人モデルの絵画史をご覧ください。