『セント・ローレンスの夕暮れ』は、オスカー・ブルームナーが1927年2月から4月にかけて紙を支持体として制作した18点の重要な連作の一点。この連作は1928年初頭に、アルフレッド・スティーグリッツのインティメイト・ギャラリーで『太陽と月など -事実と空想- 緊張あるいは気分』というタイトルで展示されました。そこには、ブルームナーが「神あるいは普遍的創造主」を表すものとみなした天体が極めて象徴的に表現されています。
『セント・ローレンスの夕暮れ』は、心の中のイメージを、物質から精神への転化を表す深遠な象徴へと変換させたブルームナーの表現の好例。中心から同心円状に広がる色彩が自然と人工物の両方を包み込み、肉体と魂、生と死、恍惚と恐怖、男と女、陰と陽といった相反する力を一つに統合しているのです。
この魅力的な水彩画でブルームナーは、画面に漂う雰囲気を創出し、増幅させるために色彩を使っています。夕暮れの空を照らすのは、鮮やかな赤い太陽が発するオレンジ、紫、淡い緑の光の帯。この作品は自然が持つ精神的な力への賛辞であると共に、存在の普遍的二面性に関する考察でもあります。ブルームナーは感情を特定の色と結びつけ、様々な感情を一つの力強いイメージで表現しようとしました。赤は力、活力、情熱と、青は静けさと、黄色は攻撃性、緑は平穏、すみれ色は不安と紐づいています。
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