今日は皆さんのために、新約聖書からの物語を用意しました。
洗礼者ヨハネは、ユダヤのヘロデ王とその兄弟の妻ヘロデヤとの結婚を非難し、投獄されました。ヘロデ王は彼を処刑するか決めかねていましたが、女王のヘロデヤは王の誕生祝いまで辛抱強く待ち、自身の計画を実行します。彼女は娘サロメに、祝いの席で踊り、その見返りに若き美男子、洗礼者ヨハネの首を要求するように指示したのです。19世紀には、この有名な物語は新たな解釈がなされ、サロメ自身がヨハネの首を求めたとされました。その改変により、サロメは“フィン・デ・シューレ”(訳注:世紀末の意。特にフランスなどで文芸方面に退廃的傾向が強くなった19世紀末を指す)におけるファム・ファタール、すなわち男性を破滅へと導く人物の代表となりました。当時の画家ギュスターヴ・モローは、サロメに邪悪な力を授け、その聖者を破壊する執行人としています。モローの描いたサロメは、“フィン・デン・シューレ”の美術や文学に大いに影響を与えましたが、オスカー・ワイルドの作品などが実例です。
P.S. 聖書の主題といえば、DailyArtの「クリスマスのアート」ポストカードセットはもうご覧になりましたか? 様々な時代や様式の巨匠の画家たちが描いたホリデーシーズンの美しさが詰まっています。クリスマスはもうすぐ。愛する人にちょっとした言葉を贈るのにぴったりですよ!
P.P.S. モローのような象徴主義の画家は神秘的な女性や危険な女性をたびたび絵のモチーフにしていました。もっと見たくありませんか? 象徴主義作品における“ファム・ファタール”たちをご覧ください。