バターの塊 by Antoine Vollon - 1875–85年 - 50.2 × 61 cm バターの塊 by Antoine Vollon - 1875–85年 - 50.2 × 61 cm

バターの塊

油彩/カンヴァス • 50.2 × 61 cm
  • Antoine Vollon - 23 April 1833 - 27 August 1900 Antoine Vollon 1875–85年

バターが絵の立派な主題になるなんて信じられますか?

この作品はアントワーヌ・ヴォロンの静物画の好例。牛の餌になる新鮮な牧草に含まれるカロチンの色であろう、豊かで深みのある黄色いバターの塊が描かれています。ヴォロンが生きた時代、バターは手作りするもので、農家から直接購入していました。

搾乳後に乳脂を集めて攪拌。その後、手かヘラを使って練り上げて、余分な水分を取り除いていきます。バターミルクの含有量が多いと、保存期間が短くなってしまうからです。バターは通常、チーズクロスに包んで涼しい場所で保管していました。この絵では、バターを包む布が、脇に置かれた2つの卵の上に垂れ下がっています。

バターの上に何層にも塗り重ねられた厚く、質感のある筆遣い。バターナイフか、バターを作る時に使った木製のヘラの跡が残っています。台所の情景や食事の仕度、日常の品々などは、当時の静物画によく見られた題材でした。

その画業を通して名声を博し、レジオン・ドヌール勲章などの幾つかの権威ある賞を受賞したヴォロンは「現代のシャルダン」と称されました。彼の絵は非常に人気があったので、多くの作品が今でも個人蔵になっています。例えば、フランスの作家アレクサンドル・デュマやアメリカの画家ウィリアム・メリット・チェイスは、ヴォロンの作品を数多く所蔵していました。

この印象的なバターの塊は、フード&ドリンク・ポストカード50枚セットに採用されています。おいしい絵のセレクションをチェックしてみてください!

P.S. 焼きたてのパンにはバターですね。ジャン=エティエンヌ・リオタールが描いた素敵な朝食の風景を見てみましょう!食に関わるアートについては、以下のコラムもご一読ください。