魔女 by Albrecht Dürer - 1500/1501年 - 11.4 x 7 cm 魔女 by Albrecht Dürer - 1500/1501年 - 11.4 x 7 cm

魔女

銅版画 • 11.4 x 7 cm
  • Albrecht Dürer - May 21, 1471 - April 6th, 1528 Albrecht Dürer 1500/1501年

この版画は、アルブレヒト・デューラーが魔術へ感じた魅力をまっすぐに描いた数少ない版画の一つ。大衆が感じていた魔女への執念を焚き付けたのは、ドミニコ会の異端審問官、ハインリヒ・クラーマーとヤーコプ・シュプレンガーによる魔女狩りの解説書、「魔女に与える鉄槌」のような本です。同書は最初にストラスブールで1487年に出版され、1494年と1496年にはニュルンベルクでアントン・コーベルガーにより再版されました。魔女のおこなう魔術は自然の秩序を破壊すると信じられており、それがこの版画に表現されているテーマです。魔女の髪はヤギと彼女が引きずる布地の動きとは反対方向に流れていることに加え、デューラーの有名な「AD」のモノグラムが本作では巧みに反転され、逆転現象をさらに強調しています。

この版画では、魔女は跳躍するヤギに後ろ向きにまたがっており、それは欲望の象徴で、悪魔と結びつけて考えられることもあります。金切り声を上げる老婆は、片方の手でヤギの角を、もう片方でほうきの柄、もしくは紡錘を握っています。荒々しい髪は後ろに流れ、左の上方から嵐に舞う石が飛んできますが、それは魔女が嵐のような破壊手段を召喚できると信じられていたことの反映です。彼女の下方には4人のプット(訳注:幼児の姿をした天使)が悪い行いに精を出し、入り組む彼らの姿はヤギの周りで円形の構図をなしています。一人のプットは、錬金術師のつぼ、おそらく魔女の呪文用の大釜を運んでいます。魔術性を持つとして知られたシロバナチョウセンアサガオの草を持つプットも。3人目は鑑賞者へ挑発的に下半身を向け、無礼にもおならをして、不吉な場面へユーモアを注いでいます。

P.S. 年老いたつまらない人から美しい誘惑者まで、魔女はさまざまに描かれてきました。それは社会が魔女をどう見ていたか、そしてその認識が歴史を経てどのように変わったかを反映しています。美術における魔女狩りの歴史をめぐるツアーに出かけましょう!